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あの人に会いにVol.3「tsudoi」さん

96【KURO】をお取り扱いいただいている販売店さんへのインタビュー。

 

 

お取扱をいただいている店舗さんは、本当に素敵なお店ばかりで、そして素敵な方ばかりです。

そんな方に、純粋に会いたい。

その想いを抱えて、お店のことや96【KURO】のことなど、お話を伺うインタビューです。

 

 

第三弾は、

神奈川県稲村ケ崎の、お店から徒歩5分で海に行ける静かな住宅街にある「tsudoi」さんです。

江の島と鎌倉のちょうど真ん中。

広く高い空に、冬の澄んだ空気が響く。その空から微かに感じる、海の気配。そして木々が擦れる音。鳥のさえずり。

田舎に住んでいながら、ここで聞くの自然の音は、何か特別に感じる。

住宅街を抜け、人が一人歩くのがやっとな細い路地に入ると、平屋の古民家である「tsudoi」さんのお店があります。

セレクトショップでありながら、この閑静な住宅街や周りの自然に溶け込むほどに懐かしく、そして美しい佇まいです。

お店の名前の通り、人が集いたくなる、帰ってきたくなる、そんな素敵なお店の店主である松井美緒さんに、96【KURO】製品の印象や魅力、お店のこだわりについて、お話を伺ってきました。

 

「おうちのように集う場所」

 

—いつもありがとうございます。ではさっそくですが、「tsudoi <ツドイ> 」さんはどういった製品をお取り扱いされているお店なのでしょうか。

 

美緒さん:tsudoiは、日々の暮らしを豊かに彩る生活道具をあつかう雑貨店です。

できるだけ国産や手づくりのモノにこだわり、職人さんを始め、つくり手の顔が見えるような商品を取り揃えています。

以前は東京・恵比寿にお店を構えていたのですが、2024年に鎌倉に移転しました。

 

 

 

—このお店のこだわりや、美緒さんが大切にしたいと思っているのはどういったところなんでしょうか。

 

美緒さん:もともとの恵比寿店の時は、ビルの中の1階に店舗があったので、もうちょっとお店っぽい感じだったんですけど、鎌倉に越してきて一軒家の古民家になったので、より一層みなさんが集(つど)ってくれるお店になるといいなぁと。

「なんかちょっと疲れたなぁ」とか「あ、あそこのお店でちょっとお茶しようかな」「ちょっと器を見に行きたいな」とか。購入されなかったとしても、見るだけでも癒されるみたいな、そういう「あったかいおうち」みたいな雰囲気を心がけているというか。

 

 

 

—まさにそういった雰囲気ですよね。しかも、おうちはたくさんあるのにほとんど音が聞こえてこない。むしろ鳥の声がよく聞こえますね。

 

美緒さん:そうなんです。周りのおうちにはみなさん住まわれてるんですけど、いつもこれくらい静かなんです。

 

 

「100年前の空気感が残る古民家」

 

—ここのお店の物件は、だいぶ探されたんじゃないですか ?

 

美緒さん:探しましたね。鎌倉では、古民家はやっぱり人気があって。いいなと思う物件は他にもあったんです。でも、手を挙げる方がいっぱいいらっしゃって、なかなか見つからなくて。それで、ここに巡り合えたっていう。

でも、結果的には自分の中では一番良かったと思えるところに出会えましたね。表通りではなくて、「どこにあるんだろう?」と探して、「こんなとこに?」となるような場所がいいなぁと想像していたので。

 

 

—そうですよね。僕も来る時に、ちょっと探してしまいました。入る時も、「ここ、人の家かな?」とか思ったり(笑)

 

美緒さん:営業している時は暖簾がしてあるんですよ。暖簾がある時は、ここまで来るとお店っていうのがわかりやすいかと。

 

—歩いててお店を見つけて入る、っていう感じじゃなくて、狙って行く感じですよね。

 

—古民家のこの雰囲気って、結構手を加えられたんですか?それとも、もともとこういった感じだったんですか?

 

 

美緒さん:そうですね、お庭だけちょっと手を加えてあります。以前は、庭に木がずらーってあったんです。もともとがご自宅だったって考えると、外からあんまり見えなくていいのかもしれないんですけど、お店としては日陰になってしまって、暗いイメージだったんですよ。

 

 

なので、木は色々切っちゃって、大きい松だけ残して石を引きました。外のベンチも、古い建具屋さんで見つけて、カーブがいい感じだったのでベンチしたりとか。

 

—素敵ですね、ベンチ。

 

 

こういう天井とかも100年前のままですね。向こうの天井も。一枚板が厚いですよね。

 

—なんか以前住んでいた方の、生活の雰囲気を想像しちゃいます。夜もすごく素敵そうですね。

 

そうですね。真っ暗になりますよ。みなさん雨戸を締めちゃって電気もないから、真っ暗ですね。

 

「黒染めの技術を生かして、布を染める…?」

 

—続いて、96【KURO】のお話を伺えたらと思います。96【KURO】というブランドは金属の黒染めというものを用いて仕上げているんですが、金属の黒染めについてはもともとご存知でしたか?

美緒さん:いや、最初は、全く知らなかったです。最初、黒染めって聞いたときは、表面に塗られているものなのかな?と思ったんですけど、いろいろ教えていただくと、中まで黒が染み込んでいるというお話をお聞きして、びっくりしたのをすごく覚えていますね。(※塗装ではなく、約1ミクロンの皮膜になっています。)

 

 

お客様にもそういうご説明をすると、やっぱり「えぇ?どうやって?」って、すごく興味を持たれるお客様もいますね。

 

—普通の方はあまり馴染みがないですよね。「うち、黒染め屋なんです」って言っても「そんな仕事があるんだねぇ」なんて言われますね。

 

美緒さん:黒染めって、布も染められるんですか?

 

—うちの製法ですと、金属のみになりますね。「布とか他の素材にもできるの?」なんて聞かれることも多いんですけどうちの場合だと、鉄やステンレスのみになりますね。

 

美緒さん:もし布でやるとどうなっちゃうんですか ?色が入っていかないですか ?

 

—そうですね。そもそも金属の黒染めっていうのが、化学反応をさせて酸化肥膜をつけることなんですね。なので、化学反応を起こす液体があって、赤茶色をしているものなんですが、そこに金属を入れるんです。なので、そこに布を入れたら、おそらくその液自体の赤茶っぽい色がつくみたいな感じですかね……

 

美緒さん:なるほど。

 

—でも、確かに布を入れてみたことはないので、今度やってみますね。

 

美緒さん:例えば、「草木染め」とかで、布を染める方がいらっしゃるじゃないですか。そこに一緒に鉄も入れて、化学反応で染める方もいらっしゃいますよね。

 

—へぇ、そうなんですね!

 

美緒さん:この布は、奄美大島の泥の中に入れて染めてる「泥染め」なんですね。「泥染め」っていうのは奄美大島だけなんですけど。これも赤茶だから、(黒染めの液に布を入れたら)こういう感じになるのかなって、思ったんですけど……

 

— 「泥染め」っていうんですね。

 

美緒さん:1回でこういう色になるんじゃなくて、何回も染めるんですよね。1回だとやっぱり薄くて、2回・3回って、もっと染める方もいて。泥に入れて乾かして、また泥の中に入れてっというのを繰り返すんです。

あとは、あそこにかかっている茶色の窓の長い布。あれは柿渋染めで、あれも何回も入れては乾かしてを繰り返していて、わざとムラがあるんですよ。1色じゃなくて、濃いところと薄いところがある。

 

—そうなんですね。すごい手間がかかっているんですね……

 

美緒さん:ごめんなさい、話の途中で。でも、すごい素敵なんですよ(笑)布って興味がある方もたくさんいらっしゃるから。黒染めで布を入れてみる時も、わざと全部に色を入れなくてもいいんじゃないかなって思うんですよ。麻のものがあればこういう色に染めちゃうとか。

 

—ヒントをいただいてありがとうございます。確かに布を入れてみるという発想はなかったですね。

 

美緒さん:布とかもできると、今度は糸とかもできると思うんですよ。そうすると、糸を使う作家さんとかもいらっしゃるし。最近、アパレルの方が糸を染めるのが流行っていて。その糸で、布にしていくっていうこともできるし。面白いと思いますよ。どんな色になるのか、ちょっと見てみたい!

 

例えば、木を染める「鉄染め」っていうのもあるから、木工の職人さんとコラボしてなにか作るとかも面白くない?

 

—「鉄染め」なんてあるんですね。

 

美緒さん:おっきな布とかを染められると、暖簾とかにもできるしね。布で何か作る人は、一色同じ色の布よりもまだらな方が欲しいんですよね。趣味の方も含めて、やっぱり普通の布っていうのは、普通に生地屋さんで買えるから。

 

茶色一色の普通の布って、言ってみれば探せばあるんですよ。でも、ちょっと手作りっぽい、わざとムラ感があるものはなかなかない。やっぱり作り手の人はそういうものを欲しがるのよね。

 

—確かに、そうですよね。

「あえてムラを出す。唯一無二の布」

 

 

美緒さん:このカバン、この間私が作ったんですよ。

 

—ええ、作ったんですか!?

 

そう、作家さんに教えてもらいながら作ったんですけど。やっぱり木でカサカサするから、この中に、中敷きとして布が欲しいんですよ。作り手のみなさんは布を買って、中に袋を作っているんだけど、私は普通の生地が嫌で(笑)

 

「柿渋染め」みたいな生地で、この中の布を作りたいって思っていて、今はない状態なんですけど。でも、そういう布が欲しい人は結構いると思います。1回、2回、3回って染めて干して……均一な一色にならないほうがいいと思うんです。

 

—金属の黒染めも、どちらかというと均一ではなくてちょっとムラが出るものなので、それと合わせても面白そうだなと思いますよね。

 

今の96【KURO】さんの製品が、スプーンとかフォークだから、テーブルクロスとかどうです?

 

—金属の黒の液で染めたテーブルクロスと一緒に使ってもらう……いいですね!やってみます。何かしら色はつくでしょうから、その雰囲気がどうなるか。

 

美緒さん:ちなみに、今まで黒染めの液の中に、別のものを入れて、他のもので化学反応みたいなことはやったことないんですか?

 

—ほかの金属に染められないかなと思って、違うものを入れて試したことはありましたね。

 

美緒さん:色は変わるんですか ?

 

—鉄とステンレス以外の金属をやろうと思ったんですけど、ほとんど何も変化がなかったんですよね。

 

美緒さん:さすがに布は、何かしら変化があると思いますけどねぇ。コーヒーでも色が付くくらいだから、コーヒーで染めるコーヒー染めっていうのもありますし、「紅茶染め」もあるし、あとは私が今やりたやってみたいと思っているのが「アボカド染め」。

 

—アボカド!?

 

美緒さん:そう、それをやりたくて、アボガドを食べると皮を取っておいて、冷凍庫に入ってるんです(笑)色は全然緑じゃないんだけど元はアボカドで、アボカドだけじゃなくていろんなものを入れたりするみたいなんです。

 

だから、もしかしたら96【KURO】さんも、何かいろんなものを混ぜるとこういう絶妙な色が出るかも。

 

—うちはずっと「金属の黒染め」って言ってきたんで、もう「これは金属をするための液」っていう風に思ってしまっているんですよね。でも、確かにいろんな見方がやり方があるんだなっていうのを改めて感じました。ありがとうございます。

 

「今までもここにあったような、生活に馴染む黒」

 

—96【KURO】を初めて見ていただいた時の、第1印象ってどういったものでしたか?

 

美緒さん:なんか、黒色なんだけど真っ黒っていう感じじゃなくて、馴染みやすい黒っていうんですかね。真っ黒ではないし、グレーでもないんだけどその中間というか。

 

例えば、新しく買ってきたとしても「今までここにあったんじゃないかな」っていう、生活に馴染む暖かさがある感じ。

新品なんだけど、引き出しを開けて96【KURO】さんのカトラリーが出てきたら、昨日買ったんじゃなくて、なんか今までもあったみたいな。

 

ああ、それはとても嬉しい印象ですね。ありがとうございます。

 

—この96【KURO】を購入されるお客様は、どういったお客様が多いでしょうか?

 

美緒さん:いろんな方がいらっしゃいますけど、実用的に使っていただける感じのお客様が多いかなと思いますね。もちろんプレゼントもそうなんだけど、ご自宅で使いたいっていう方が多くて。

 

「ああ、これ可愛いい!」と思って買っても、仕舞ったままっていうものもあるじゃないですか。でもそうではなくて、買ってすぐ使うみたいな、そういう方が多いかな。

 

—そうなんですね。ありがとうございます。

 

 

—最後に、96【KURO】は燕三条っていう地域で作っているわけなんですが、燕三条に対して何か持ってる印象ってありますか?美緒さんも新潟県のご出身だと思いますが。

 

美緒さん:燕三条っていうと「ものづくりのまち」っていうのは、やっぱり定着してますよね。町中がそれに力を入れているっていう、力強さみたいな感じ。

 

個々じゃなくて、なんかみんなが団結というか集結して、「まちを活性化させよう」「元気にしよう!」みたいな力強さっていうんですかね。そういうイメージがすごくあります。

 

だからいいなぁ、羨ましいなぁ、なんて思ったり。

 

—そうなんですね。

 

美緒さん:東京とかにはないですよね、なんかみんなバラバラな、個々でっていう感じだけど、燕三条は、みんなが一緒にやるぞ!みたいなそういうイメージがすごい強いですね。

 

—確かに、まちの活性に限らず、何かに取り組むパワーっていうのは感じますね。若い人も活発に動いているのを見ると嬉しく感じますね。

 

美緒さん:あとは、穏やかなイメージもありますね。それは燕三条だけに限らないですけど、ものづくりをされている方っていうのは、やっぱり強い思いと、穏やかな思いみたいなものが混ざっているように見えますね。

 

みなさんもちろんこだわりもあるし、一生懸命ですよね。すごい素敵だなと思います。

 

—なるほど、穏やかな感じ……私も20代前半から、家業のこの会社に入させてもらって。その時はまだ「職人のまち」っていう感じで、「仕事中は歯見せんな!」とかよく言われてましたね(笑)でもそれも変わってきているなぁって感じますね。

 

いつも笑顔が素敵な美緒さん。「tsudoi」という名前は、会うとホッとする優しさのある美緒さんのお人柄にもピッタリです。

この度はありがとうございました。

 

 

tsudoi

神奈川県鎌倉市稲村ガ崎1丁目11-8

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